

平成16年3月のスタート当初から仙台空港アクセス鉄道の開発に携わっている鉄道・運輸機構名取建設所の諏訪内所長。東京、お台場を走り抜けるりんかい線ではゼロから完成に至るまで関わった実績もお持ちです。
今回は、そんな鉄道づくりのエキスパートである諏訪内所長に、仙台空港アクセス鉄道の開発エピソードや鉄道開発の技術的な側面についてお聞きしました。
仙台空港アクセス鉄道の設計から完成そして検査までを受託している「鉄道・運輸機構」様。平成16年3月にスタートした開発も平成19年3月の完成を控え佳境へと入っています。
「この仕事に携わって30数年になりますが、このくらい短期間での開発というのはあまり記憶にありませんね。」という諏訪内所長。
その言葉通り名取建設所内には土木・軌道・建設機械・電気など、各部署のスタッフがその時々の状況により約30名ほど常駐しており、鉄道の心臓部であるレールの敷設だけでも、常に140名~150名のスタッフが作業を行っています。鉄道の開発では、レールが敷き終わらないと次の工事が始められないため、とにかく一日でも早く作業を進めなくてはいけません。土木工事では更に増員された総勢200名の力で工期を間に合わせた経緯があるそうです。
「一日でもより早く鉄道を完成させるには、人員や技術だけではなく、地元の皆さまの協力が何より必要なんです。」と全長7.1kmの鉄道は地元住人の皆さまを含んだ全ての方々の力で完成できるという事を強調されていました。
「最小限の工期で、いかにご迷惑をおかけする期間を短くするかが、大きなポイントの一つですね。」と話す諏訪内所長。将来鉄道を利用するであろう地元住人の皆さまへの配慮は、開発技術の側面にも数多く見受けられますが、その代表的な事例をいくつかご紹介します。
まずは将来的なメンテナンスを考慮したレール。仙台空港アクセス鉄道に使用されているレールは、最新の技術でマクラギを固定する事で維持費を最小限にするよう考えられています。この技術を用いてレールを敷設するのは東北では希なのだそうで、運賃等で負担する事になるメンテナンスのコストを考えて採用されています。
次にご紹介するのは、高架橋です。
約6.5kmと鉄道全体の90%以上を占める高架橋は、緑豊かな周りの景観を損なわないよう、丸みを帯びた曲線を用いたアーチ型が採用されており、環境に対しても配慮されています。


また、レールから2mに設定された防音壁は、車両から外の景観が見える程度の高さ。これは、つくばエクスプレス(筑波~秋葉原間)と同じ構造になっていて、高架橋を走るアクセス鉄道からは、天気の良い日は蔵王連峰を眺める事ができます。
「仙台空港までのアクセスという目的のハッキリした鉄道ですが、周囲の景観を眺めたり、レジャー、ショッピングの足としてなど、様々な目的で利用して頂きたいです。皆さまの鉄道をこれから是非育てていって欲しいですね。」と、これから完成に向けてラストスパートする諏訪内所長の目には、鉄道が完成し利用する方々の笑顔が見えているのかもしれません。
美田園駅の全容も見え始め、レールウォークやレールの締結式など、完成に一歩ずつ近づく仙台空港アクセス鉄道。諏訪内所長がご家族と一緒に、ご自分の開発したこの鉄道を利用する日もまた、着実に近づいています。